人が記憶され始めたとき
人の行動が共同体の記憶に入り、目には見えないが社会には感じ取れる資産になる瞬間を描く序章
評判は一度の出来事ではなく、一貫した行動の積み重ねと、社会が過去の経験を整理する方法によって形成される
目に見えない資産が形を取り始める
人は評判とともに生まれるわけではありません。産声を上げたとき、私たちが持っているのは一つの名前だけです。評判はその後、自分の行動が他者に記憶され始めたときに現れます。その瞬間、誰の目にも見えないのに社会全体が感じ取ることのできる、目に見えない資産が生まれます。
記録や書類より先に、共同体は人を覚えていた
初期の共同体では、社会の記憶は小さなものでした。人々は近くで暮らし、ともに働き、毎日互いの生活を見ていました。ある人は常に約束を守ることで、別の人は狩りでの勇気によって記憶されました。器用さで覚えられる人もいれば、利己的であることで覚えられる人もいました。プロフィールや書類が存在する前から、共同体の記憶が一人ひとりの像を形づくっていたのです。
評判は常に反復の結果である
重要なのは、そうした記憶が一度の出来事から生まれるのではないということです。記憶は無数の小さな瞬間から積み重なります。一度誰かを助ければ好意を生むかもしれません。しかし、何百回もの一貫した行動があってこそ、人はあなたをある特定の姿で本当に記憶します。評判は常に反復の結果なのです。
評判は完全には自分のものではない
だからこそ、評判は完全に本人だけのものではありません。私たちは生き方を選べますが、他者が何を記憶するかを決めることはできません。いったん行われた行動は社会の記憶に入り、それ自体の人生を歩み始めます。
記憶はいま、デジタルの規模で存在する
その本質は今日も変わっていません。違うのは、記憶が小さな村の中だけに存在しなくなったことです。会話、インターネット、完了したプロジェクト、顧客の評価、そして一人ひとりが残す無数のデジタルの痕跡の中にあります。私たちは今も記憶され続けています。ただ、その規模がはるかに大きくなったのです。
社会は私たちの何を記憶しているのか?
だからこの本の最初の問いは、どうすれば良い評判を得られるかではありません。より重要なのは、社会が私たちの何を記憶しているのか、という問いです。その答えが、Reputationを探究するこれからのすべての章を決めていきます。